温泉旅行編


この温泉旅行編は2003年冬に途中まで書き上げて放置していた物です。
皆が大学生になっている未来のお話だったため、当時高校生だった私にはよく解らない世界でした。
今回書きかけなのも勿体ないので続きを書かせて頂いた次第です。
まだ話自体は完成していませんが、冬休みの読み物になればいいな、と思います。
感想など、あったら教えて下さいな。



   





この話は

大学進学後生徒会がおくる

ひと冬の

ちょっと破廉恥なお話である…

  以上語り:祥









+++ 温泉旅行編 +++





あれは確か、一年も終わろうとする冬のことだった。

あの日、キャンパス内でたまたま49期メンバーの7人が出くわしたのだ。

「なぁ、どっかいかねぇ?せっかく集まったし」

そう提案したのは祥だった。

「カラオケとか?」

「ちげーよ」

恒が返すと、祥は鋭く突っ込んだ。

「冬休みにどっか旅行にさ」

「たのしそう!」

孝子が騒いだ。

「それなら俺もいきてぇ!」

 

…また始まった…影貴は秀と顔を合わせ苦く笑った。

「だぁってさぁー俺達大学生じゃん?リベンジってやつ?」

祥が恒に向かって言うと、恒が「阿呆か」と目を細めた。

「リベンジ?」

尋乃が首を傾げるが会話は続いていく。

「皆で温泉にしようぜ?先生も誘って」

 

「…

 

          ……誰誘うって!?」

 

2人が一斉に振り向いた。

「あんなの誘うな!ややこしくなる!」

「そうだよ!駄目だよそれは!」

まくしたてた擾と影貴の前に尋乃が飛び出した。

「大賛成ですっ!皆で行こっ!」

目を輝かせて首を縦に振る。

「却下」

「私もパス」

擾と影貴の二人は顔を合わせず手をパタパタ振ったが、その手を引っ張られて話の輪の中に押し込まれた。

 

祥が手早く話す。

「おれんちの知り合いのつてでさ、温泉宿とれるんだ。綺麗なとこだぜ。再来週朝からな!

 七時に駅集合!宿代は不要。持ち物自由。他質問。」

「はぁいっ!」

尋乃が勢い良く手を挙げた。

「それに先駆け必要なモノをあとで教えてくださぁーい!」

尋乃の笑顔に恒がハテナマークを浮かべる。

「なにがおこるか秘密だよー☆」

 

 

 

 

 

久々に、49期・50期全員がそろった。

なかなか圧巻な光景である。

宿は旅館かと思いきやとても大きなホテルで、本当に宿代不要なのか不安になるほどだ。

その上なかなか風情もあった。

部屋割は適当に決めて、影貴は尋乃と二人部屋、和室だった。

 

 

「へぇー…テニスコートもあるんだねぇ…ここサッカーも出来るよ」

なぜか尋乃と影貴の部屋に全員が集まって周辺の地理談議が始まる。

しかしいつもなら騒ぐ尋乃がニコニコと笑っているので影貴は首を傾げた。

「尋乃これからどこ行く?」

肩をつっつくと尋乃は立ち上がった。

 

「龍倉尋乃ツアーに参加する人ーっ!今日はテニスいくよーっ!」

「うーっす」

祥が勢いよく手を上げた。

「恒!恒!さっき女子大生がミニスカートでテニスしてた…」

「はいはいつきあってやりますよ」

相変わらず漫才が続く。

擾と蔭はつきあいきれないから散歩に行くと言い、柚樹が敷地内のアミューズメントモールに行きたい

といったので稚弘もそれについて行くことになった。

 

 

 

 

「ねぇ尋乃?恰好って普通でいいかな?」

尋ねてきた影貴に秀が鋭く突っ込んだ。

「一人でリオのカーニバルでもやるの?そりゃまためでたいね。」

自室に帰り始めた皆が笑った。

 

「いえいえ!えーちゃんが不自由な思いをしないように!私が用意してきました!

じゃーんっ!」

 

尋乃はバッグの中からポロシャツとミニスカートを取り出した。

「おそろいだもーんっ!」

 

 

 

 

 

「…短っ…」

辛うじて祥が突っ込んだ。

「ち、ちょっと待って!私下にはくズボンとかなにもない!」

慌てた影貴に尋乃は笑顔で切り替えした。

「じゃあえーちゃん生パンね!」

 

 

 

 

 

ドアが激しく閉まる音がして、部屋には二人だけが残された。

 

 

 

 

 

 

「げ!影貴マジ生なの!?おーぃスィー!」

 

騒いだ祥の足をおもいっきり蹴って影貴は言った。

「んなわけないでしょ!尋乃は用意周到なの!」

イライラしながら太腿をかするスカートを延ばして整える。

「まったく公害よこんな短いの…」

ブツブツ呟いていると五本の指が太腿を撫でた。

 

 

「…それは、ハ・ン・ザ・イ…っていうんだよ…」

 

 

体中にゾクゾクッと悪寒が走った。

 

「せんせー!遅いよぉー」

尋乃が手招いた。

「いや、仕事がのびちゃってね」

「じゃあ私と孝ちゃん、えーちゃんわんちゃんでダブルスね。せんせーみててー」

 

そもそも響が仕事で遅れると聞いたから我慢してミニスカートはいたのにまったく意味がない。

結局短いスカートが気になってゲームには集中できないわ尋乃にかたっぱしから騒がれるわ秀には散々

悪態つかれるわでろくにテニスなど出来なかった。

 

 

 

 

「あーもう絶対あんたたちとはやらない!私帰る!」

ご機嫌を損ねた影貴は早足でコートを出た。

「適当にどっかの女子大生でもなんぱしたら?じゃあねっ」

「おい!なんで怒りの矛先が俺に向くんだよ!」

たまたま様子を見に来た祥にタオルを投げ付けて影貴はテニスコートの扉に歩いて行く。

「もうあんたたちにはつきあいません!」

止めようとした尋乃を睨みつけて影貴は扉を勢いよく閉めた。

 

「だいたい嫌なら着なきゃいいじゃねぇか。バカじゃねぇの?」

投げられたタオルをベンチに掛けて祥は腰を降ろした。

「なぁ尋乃?…?」

隣にいた尋乃はしょんぼりしていた。

 

「えーちゃん…怒っちゃったよねぇ…」

「明らかにね。」

反対隣にいた秀が帽子をひざ頭に掛けてドリンクをすすった。

「…嫌われちゃったら…どうしよう…」

ぼろぼろと涙をこぼし始めた尋乃に一同は戸惑った。

「おぃ尋乃何で泣くんだよおい!」

そこに運悪く別行動組が帰ってくる…。

 

「大丈夫じゃないかな」

話を聞いた月花が笑った。

「だってほら、一人いないもの」

 

 

 

 

 

いつのまにか一人、いなくなっていた…

 

 

 

 

 

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やっぱり三年も前だと下手だなーと思う。
急に文体が変わるのですぐに何処からが新しいか気付くと思います。
気づいてくれなきゃ困ります。
03.8.13    ねくすと。