FATE9 運命ハ動キ出ス

 

「君たちに来てもらいたい所があるんだ」

流が帰ってきた次の日のことだった。

「仕事をする若い人手を探しているんだよ。
 
 住み込みでちゃんと1人づつ部屋も与えられる事になってるし、食事や掃除の世話も問題ない。
 
 今のままでは立花に負担が大きすぎるだろう?決して損ではないと思うよ?」

男三人は顔を合わせた。

「大丈夫。女の子たちにもちゃんと世話をする人たちがつく。すぐに会う事も出来るよ」

たしかに立花の仕事も減るし、悪い話ではない。

しかし・・・こんなに上手い話があるだろうか?

疑問を残したまま六人は流に連れられて仕事現場に向かう事になった。

 

 

どれくらいの時間がたったのだろう。七人は口数少なく歩を進めた。

森を抜け、荒野を横切り・・・今は草原を歩いている。

「なぁ・・・まだつかねぇのか?」

擾暁は痺れを切らして前方を歩く琉に尋ねた。

「もう敷地内に入ったよ。ホラ・・・建物が見えるだろう?あれが全部そうだよ」

流は前方にある建物の群れを指差した。

「全部・・・?」

香は小さく呟いた。

「一体仕事って・・・」

すると、下のほうで何かが動いているのに気が付いた。

御影だ。香の服をしっかりつかみ、何かにおびえるように震えている。

「疲れた?ほら、あれがそうだって」

香が指した方向を見ると、御影は急に後ずさりを始めた。

「・・・・・・いやだ!行きたくない!ワタシ行かない!みんなとかえる!うちかえる!」

懸命に叫ぶ姿は尋常ではない。香は驚いたが、走り出そうとした御影を捕まえて引き寄せた。

「御影、どうしたんだ?危ない所じゃないって言ってるし、大丈夫だよ?」

「イヤだ・・・あそこはいやだ!いかない!かえる!」

御影は香の手を振り払いもと来た道を走り始めた。

「御影っ!?」

香は流の方に振り向いた。

「父さん悪いけど・・・僕いったん御影と帰るよ」

香はそう言って御影の後を追い始めた。

 

 

「もう 敷地の中だと 言っただろう・・・?」 

 

 

大きな黒い影がすっと六人の間を掠めた。

 

 

その後どうなったのか、六人には記憶が無い

 

 

 

10/05  


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