FATE10 真実

 

三人の目がさめた時、周りに少女3人の姿は無かった。

もうろうとする意識の中で三人は立ち上がり目の前の扉を開けると、

そこには一人の男が大きな椅子に腰掛け、机をはさんでこちらを見ていた。

「歓迎するよ ようこそ 研究所へ・・・」

 

 

―――――ダマサレタ―――――

六人は割のいい仕事を貰えたのではない。

流によって研究所に売られたのだ。

男三人は研究員として、女三人は研究材料として・・・

町二つ以上の大規模な研究所の中で三人はそれぞれ各部署に配置され、日夜研究の日々・・・そうさも当然のように説明された。

結局御影、立花、詩乃の所在はわからぬまま・・・

 

 

 

目を覚ますとそこは薄暗い部屋だった。周りには誰もいない。自分ひとりのようだ。

動こうとすると金属の鈍い音が部屋中に響く・・・背後で太い鎖が御影と柱を縛りつけていた。

地面に落ちていたガラスの破片に自分の顔が映る・・・

額にはあの時と同じ白いバンソウコウが張られ体に力が入らなかった。

「お帰り、御影・・・」

頭上の声に恐る恐る顔を上げると目の前に黒いスーツの男が立っていた。

「逃げちゃ駄目じゃないか・・・心配したんだよ?」

その男は薄ら笑いを浮かべ、御影の前にしゃがむとゆっくり髪をなでた。

「もう逃げ出そうなんて気は起こすんじゃないよ・・・?君は可愛いボクのコなんだから・・・」

御影は顔を引きつらせておびえた。露になった肩を触る大きな手が怖い。

額の絆創膏に男は口付ける。

 

キ ミ ガ タ イ ヨ ウ ノ シ タ ニ イ ク コ ト ハ フ カ ノ ウ ナ ン ダ ヨ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

香、擾暁、蔭時はそれぞれ言い渡された担当の場所へ向かおうとしていた。

香は渡された白衣を着て廊下を歩いていると、目の前を四人の研究員に厳重に囲まれて歩く少女の姿が見えた。

   ・・・御影・・・?

やはりそれは御影の姿であった。

真っ白の実験用ワンピースに身を包み、力なく歩いている姿は先ほどとは打って変わっている。

香は小走りにその姿を追いかけていった。

 

 

見覚えのある部屋に御影は連れて行かれた。

小さな部屋・・・その中には筒状の培養ケースと大きな実験用の機械が置いてあった。

  何もかも 昔のままで ・ ・ ・ 

「さぁ、入るんだ」

研究員のうちの一人が御影の腕を引っ張った。

『この中に入ったら・・・もうでられない』

狭く冷たいガラスケースの中に一人。またあの生活が始まってしまう。

いつも横にいてくれた皆の・・・香のぬくもりを感じる事はもう無いだろう

「いやだっ!やめて!はなしてっ!!!」

御影は腕をつかんだ研究員に爪を立て泣き叫んだ。

「・・・早く このエーフィに鎖をかけろ」

冷たい声が部屋に響いた。

 

「辞めて下さい」

 

部屋の入口から入って来たのは香だった。

「なんだお前は?」

四人の研究員が顔をしかめた。

「D196-0009142 エーフィ・御影・・・ 僕の担当です」

香はそう言ってIDカードキーを四人の前に突きつけた。

番号を確認すると、四人は香に作業の引き継ぎをして部屋を去った。

 

 

 

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