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FATE 19 新しい友達

 

「お前最近機嫌良いな、なんかあったのか?」
にこにこ笑いながらスプーンをくわえる詩乃に擾暁は尋ねた。
「お友達が出来たの!」
笑顔で返事が戻ってくる。
「へぇ、どんな?」
「とりさんっvv」

…俺は単なるスズメかなんかかと思った

しかしそのとりがいなければ…

そんな事態は考えたくもない
 

 




ある日詩乃は一人研究所内の草原に放たれた。
いつもは擾暁が隣にいるのだが、その日はたまたま他の研究員に呼び出され、草原に詩乃は残される形になってしまった。
「一人じゃつまんないっ!」
自分と同じ位の大きな綿胞子によっ掛かりぷうっと膨れると、そこに大きな突風が吹いた。
「あっ!」
足が大地を離れ、綿はふわふわと空に向かって舞い上がった。
草原が遠くなる
完全にタイミングを失った詩乃は知らぬ間にかなり上空に来てしまった。
「どこかに…降りなきゃ!」
前方に背の高い木がある。
綿から落ちぬように、木に足を伸ばす…しかし、今一歩届かない…
「くっ…ううぅっ!」
もう少しっ…!



その時、急に足首を捕まれ、詩乃は綿から手を離してしまった。
ドサッと音がして…気がつくとまわりは一面木で、誰かの腕の中に詩乃はすっぽり納まっていた。
「お前パンツ見えるぞ!」
見上げるとそこには赤に黄色のメッシュが入った長髪の少年がいた。
「お前あんまり見ない奴だな。何もんだ?」
「…しの…」
「俺は飛翔!ピジョットだ。研究所の管理下じゃねえけどあそこの事は大体知ってるぜ!」
飛翔は詩乃を抱えたままひょいっと下に飛び降り、詩乃が元いた辺りで地面に降ろしてくれた。
そこで初めてその少年がかなり背の高い人だということに気がついた。
詩乃は自分の身長をよく知らないが擾暁よりも大きいということは明らかだ。
「ありがとうっ!また遊びに来てもいい?」
草原にペッタリ座った詩乃は空を見上げるように飛翔の顔を見上げにっこり笑った。
「おお!会いたいときはこの草原で俺の名前でも呼んでくれ!いつでも飛んで来てやるぜ」
「…いつもあの木にはいないの?」
首を傾げると飛翔は頷いた。髪がサラサラと揺れる。
「いつも同じ所にはいないし、住み処も人には教えない。俺のルールだ。見つかると面倒だからな」
今日助けて貰えたのは偶然だったのだろう。にしても幸運だった。
「えへへ…じゃあ私と飛翔は『とっぷしーくれっと』なんだねっ」
「トップシークレット?なんだそれ?」
飛翔は遂に見下ろすのが疲れたのか隣に腰を下ろした。
「ヒミツのこと!白衣の人がたまに「このことはとっぷしーくれっとです」って言ってるよっ」
飛翔は眉を細め何か考え込もうとしたがその声を遮るように男の声が草原に響いた。
「しの~っ!?帰るぞーっ」
擾暁だ。
詩乃が立ち上がろうとすると知らぬ間に先に立ち上がっていた飛翔が
詩乃の腕を引っ張って立ち上がらせ、詩乃の頭を軽く撫でた。
「またな」
これが彼の種族の挨拶の仕方と判断した詩乃は同じ事をしようと手を伸ばしたのだが届かない。
飛翔はそれを察して屈んでくれた。
「また遊ぼうね!ばいばいっ」
詩乃はずっと振り返って手を振りながら声のする方へ走っていった。
飛翔の視界から彼女が消えそうになるころ…案の定コケる姿が見えた。
「だから…パンツ見えるから止めろってばよ…」
苦笑いを浮かべると飛翔は見知らぬ青い空にたたんだ翼を広げ、飛び立った…




 

 


 

02/12/14


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制作に何ヶ月掛かったってそりゃもう三ヶ月ほど。(笑)
祥って何でこんなに破廉恥発言をサラッと言えるんだ…ちなみに彼の背中の羽根は伸縮自在、最小の大きさにすれば人間と見た目大して変わらないです。
↑飛翔は表で唯一見られるエバー絵の一人になってますね。またエバー絵描きたいなぁ。下手に書くと読ませろって言われるからかけない…(笑